【5月20日 AFP】イタリア政府は19日、麻疹(はしか)患者の急増を受け、一連の予防接種を就学の条件とする新政令を承認した。

 パオロ・ジェンティローニ(Paolo Gentiloni)首相は同政令を承認した閣議の後、「(この動きによって)これまでは接種が推奨されるにとどまっていたいくつかの予防接種が義務化される」と語った。

 これにより、国立の保育園や小学校に入る6歳以下の子どもはポリオ、ジフテリア、破傷風、B型肝炎、ヘモフィルス・インフルエンザb型菌(Hib)、B型髄膜炎、C型髄膜炎、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、百日ぜき、水痘(みずぼうそう)の12種類の病気の予防接種を受けることが義務付けられる。

 イタリアでは6歳から義務教育を受け始めるが、この年齢を超えた子どもが予防接種を受けていない場合、保護者には罰金が科されることになる。

 予防接種義務化について教育省は多くを語ろうとせず、野党「五つ星運動(Five Star Movement)」は製薬会社への「贈り物」と非難している。

 ベアトリーチェ・ロレンツィン(Beatrice Lorenzin)保健相は、子どもが予防接種を受けていないことを主な原因として麻疹患者が3倍になったことを受け、この改革を進めてきた。

 保健省は、的外れな健康不安が急増していることが原因で、ありふれた病気の予防接種を受ける2歳児の数が数年前の90%超から2015年の85%にまで低下していると非難した。世界保健機関(WHO)は、危険な大流行を防ぐために予防接種率95%を目標値としている。

 ロレンツィン保健相は先月、子宮頸(けい)がんワクチンの副作用の可能性について問題提起する番組を放送したイタリア放送協会(RAI)を叱責した。

 イタリアは、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹の新3種混合ワクチン(MMRワクチン)と自閉症との間に関連性があるとする信ぴょう性のないうわさが流布している国の一つでもある。(c)AFP