【5月18日 AFP】医療に利用できる植物は全世界に2万8000種以上存在するが、規制当局によって文書化されていないため、その健康効果の大半は活用されていないとする調査結果が18日、発表された。

 英ロンドン(London)のキュー王立植物園(Royal Botanic Gardens, Kew)は、最新の年次報告書「State of the World's Plants)」の中で、医療に活用できる2万8187種の植物を特定。これでもまだ「かなり控えめな数」かもしれないと述べている。

 調査結果によると、過去1年間に発見された新種の植物の中には、パーキンソン病の治療に利用されるツル植物9種も含まれているという。

 世界的に有名な同植物園の科学部副代表モニク・シモンズ(Monique Simmonds)氏は、「糖尿病やマラリアなどの疾病に関して植物が持つ可能性は極めて大きいことが報告書によって浮き彫りになった」と語っている。

 報告書は、2015年に40万人以上の命を奪ったマラリアに対する「最も重要な武器」の中には、アルテミシニンやキニーネの原料となる植物2種も含まれると指摘。しかしそうした潜在能力があるにもかかわらず、規制当局が発行する文書に医療用として記載されているのは、同植物園が記録した植物のうちわずか16%だという。

 同植物園が所有するロンドン西部にある広大な庭園と植物に関する850万点以上の収集品は、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)にも登録されている。

 キュー王立植物園が年次報告書を発表するのは今回で2回目。報告書作成には世界12か国の科学者128人が携わっており、最初の調査以来、新種の植物1730種が発見されたという。

 こうした新種の中には、ブラジルで発見されたイモノキ属の新種5種や南アフリカ産のルイボス茶の原料となるアパラトゥス属の新種7種、トルコで発見されたパースニップ(別名:アメリカボウフウ)の新種などがある。(c)AFP/Maureen COFFLARD