【5月18日 AFP】アジア・サッカー連盟(AFC)は17日、アジアカップ(2019 AFC Asian Cup)予選の北朝鮮対マレーシア戦について、安全上の問題を理由に開催地の決定を含めて再び延期すると発表した。

 外交上の問題で延期されていた北朝鮮対マレーシアの試合は、当初6月8日に北朝鮮の首都平壌(Pyongyang)で行われる予定だったが、AFCは声明で「朝鮮半島において政治的緊張があるため」試合を延期する必要があると述べた。

「当該試合は現在、国際サッカー連盟(FIFA)が最適と判断する2017年10月5日で再調整が進められている。AFCは今後数か月にわたり、安全と警備の状況を注意深く監視していく」

 試合会場についても、今月31日に平壌で行われる北朝鮮の機関車体育団(Kigwancha SC)とモンゴルのエルチム(Erchim FC)のアジア杯予選と、7月19日から23日まで同地で開催される同大会予選のU-23の試合後に決定するとして、「これらの試合後、AFCは2017年10月5日に行うアジア杯予選の会場を決定する」とされている。

 マレーシア・サッカー協会(Football Association of MalaysiaFAM)のハミディン・モフド・アミン(Hamidin Mohd Amin)事務局長は、試合を再び延期したAFCの決断は「賢明な措置」であり、協会として歓迎する意向を示し、「ウィンザー・ジョン(Windsor John)事務局長をはじめ、AFCに感謝する」と語った。

 この問題については、FAMのトゥンク・イスマイル・スルタン・イブラヒム(Tunku Ismail Sultan Ibrahim)会長が前週、平壌で北朝鮮対マレーシアの予選が行われることになれば、自国の選手が意図的に毒を盛られる懸念があると述べていた。

 当初3月28日に行われる予定だったこの試合は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏が今年2月にマレーシア・クアラルンプール(Kuala Lumpur)の空港で殺害されたことをめぐり、両国間の外交問題に発展したため延期されていた。

 金正男氏が殺害されたことを受け、両国は自国内における滞在者を互いに出国禁止にし、相手国の大使を国外追放処分とするなど対立が続いたが、最近では緊張関係が緩和されている。クアラルンプールの空港で神経剤VXを使用したとされる正男氏殺害事件をめぐっては、韓国が北朝鮮による画策であると非難し、マレーシア警察も北朝鮮国籍の人物数人を容疑者として断定した。

 延期されていた試合を平壌で行うとしたAFCの決定に対して、FAMは先日不服申し立てを行っていた。2019年アジアカップで大会初出場を目指すマレーシアは、その最終予選となる北朝鮮戦でプレーすることを拒否した場合、0-3での敗戦に直面することになる。(c)AFP