【5月13日 AFP】国際規模のサイバー攻撃を引き起こしているランサムウエア(身代金要求型ウイルス)の1種、「WannaCryWCry)」の拡散を「当面の間」食い止める「キルスイッチ(無効化措置)」が発見されたことが、サイバーセキュリティー専門家によって13日、明らかにされた。

 ツイッター(Twitter)上で「@MalwareTechBlog」というアカウント名を持つこの専門家は、AFPの個別取材に対し、防衛措置の発見は偶然だが、このマルウエアに使用されているドメイン名を登録すれば拡散は止められると述べた。「基本的にハッカーたちが使用しているのは未登録のドメイン名だが、そのドメイン名を登録することでマルウエアの拡散を止めることができた」という。

 ただし、サイバー攻撃を避けるためには「システムの早急なアップデートが必要」だとし、「危機は終わらない。ハッカーたちはいつでもコードを変更して、再び攻撃を試みることができる」と警鐘を鳴らした。

 12日に多数の国で被害が生じた一連のサイバー攻撃は、米国家安全保障局(NSA)から流出した内部文書で明らかになった脆弱(ぜいじゃく)性を利用したものとみられている。

 今回のサイバー攻撃に使われたランサムウエアは、ハッカーらが利用者のデータにロックを掛けて利用不能にした上で、その解除と引き換えに仮想通貨「ビットコイン(Bitcoin)」での身代金(ランサム)支払いを要求するウイルス。

 今回コンピューターシステムがサイバー攻撃被害を受けた企業や組織には、英国の「国民保健サービス(NHS)」に所属する複数の病院やロシア内務省、スペインの通信会社大手テレフォニカ(Telefonica)、米運輸大手フェデックス(FedEx)などがある。(c)AFP/Kate BARTLETT