【5月12日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領とロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相が行った非公開会談の写真をロシア政府が公開したことを受け、米政府内から怒りの声が上がっている。

 一連の写真には、ホワイトハウス(White House)の大統領執務室で10日に行われた会談で、トランプ大統領がラブロフ外相、セルゲイ・キスリャク(Sergey Kislyak)駐米ロシア大使と笑顔で握手する様子などが写っている。写真はロシア国営タス通信(TASS)が配信し、世界中のメディアに掲載された。

 米国は数か月前、昨年の大統領選挙干渉を理由にロシアに制裁を科したばかりで、手厚い待遇で行われた会談は、それだけでもロシア政府にとって大きな外交上の成果とみられていた。

 さらに写真が公になったことで、ロシアが外交上の勝利を収め、トランプ政権の裏をかいたとの見方が生まれた。ホワイトハウス当局者らは、写真公開は信頼への裏切りだとして、怒りを表している。

 当局によれば、トランプ、ラブロフ両氏の会談は、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、モスクワ(Moscow)で最近行ったレックス・ティラーソン(Rex Tillerson)米国務長官との会談の見返りとして要請していた。

 ホワイトハウス側には、ロシアの公式カメラマンが同席すると伝えられたが、写真は記録のためであり、必ずしも公開はされないとの意向が暗に示されていた。

 ある側近は会談の直後に「われわれの公式カメラマンと、相手側の公式カメラマンが同席した。それだけだ」と述べていたが、写真が国営通信を通じて世界中に広まると、ホワイトハウス側はロシア政府にだまされたと激怒。2人の当局者が、写真を公開するとは聞いていなかったと認めた。

 米上院情報特別委員会(Select Committee on Intelligence)は11日に開いた公聴会で、国家安全保障局(NSA)のマイケル・ロジャーズ(Michael S. Rogers)局長に対し、ロシア側カメラマンの大統領執務室への入室を認めたことにより、サイバー手段での侵入を受ける可能性があったかについて追及。同局長は、事前に意見は求められなかったと証言した。(c)AFP/Andrew BEATTY