■オバマ前米大統領の手法も

 しかしマクロン氏は、国の進化をさらに推し進める若く大胆な人物とのイメージを生かして、自身の政治運動に賛同するボランティア数千人を動員。選挙活動を巧みに展開させた。こうした手法は、バラク・オバマ(Barack Obama)前米大統領が2008年に大統領に当選した際に行っていた草の根運動を一部モデルにしたものだ。

 マクロン氏は学生時代、フランスの有名な哲学者のアシスタントを務め、また多数の指導者を排出してきたフランス国立行政学院(ENA)をはじめとする国立大学でエリート街道を歩んできた。

 卒業後は仏財務省に就職。その後、ロスチャイルド(Rothschild)系の投資銀行で企業の合併買収を成功させ、数百万ユーロを稼ぎ出したと言われている。

 反対派はこの経歴について、マクロン氏が「グローバル資本主義志向のエリート」である証拠だとしてやり玉に挙げた。同氏の自信に満ちた態度や高価なスーツ、企業家の擁護なども、さらなる攻撃の材料となった。

 さらに、文学や詩などの要素を取り入れた長いスピーチも、抽象的で単なる知識のひけらかしだとして批判されている。

 また一般の有権者と気さくに接するマクロン氏だが、過去には人を見下すような態度をめぐり批判されたこともある。同氏は過去に、食肉加工場の作業員について「読み書きができない」と表現したり、一時解雇された労働者については「アルコール中毒」、公共交通機関を利用する人については「貧しい人々」などと発言したりしていたことが指摘されている。

 昨年5月には、Tシャツ姿の反対派の人と口論となり「スーツを買うための最善の方法は働くことだ」と冷静さを失ったマクロン氏の姿も伝えられていた。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT