【5月3日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」のドイツ人戦闘員の男を監視するため米連邦捜査局(FBI)に雇われていた女性通訳・翻訳者が、この男に好意を抱くようになり、シリアに渡航して男と結婚していたとみられることが分かった。

 2日に公開された裁判文書によると、「最高機密」を扱う資格があったとされるダニエラ・グリーン(Daniela Greene)元被告(38)は2014年6月、FBIデトロイト(Detroit)支部の同僚らに、両親に会うため数週間、ドイツに行くと伝えて出国。しかし、実際はトルコに渡った後、シリアに入国してIS戦闘員と会い、結婚していた。

 裁判文書ではこの戦闘員の身元は示されていないが、米CNNは、ドイツ人の元ラップ歌手、デニス・カスパート(Denis Cuspert)容疑者だと報じている。同容疑者は2015年初め、米国務省によってテロリストに指定された。同省によれば、同容疑者はISでドイツ語話者の勧誘を担当していたほか、ISの動画にも多数登場。中にはISに敵対する人物の切断された頭部を手に持っているものもあった。

 グリーン元被告はチェコスロバキア生まれで、米兵と結婚。2011年にFBIで働き始め、2014年6月に姿を消すまで問題を起こしたことはなかった。

 元被告はシリア到着直後の同月27日、カスパート容疑者と結婚したが、直後に逃げ出す方法を考え始め、翌7月には、IS支配地域から友人に送った電子メールで「今度こそは本当にまずいことをしてしまった」と伝えていた。さらに、別のメールでは、帰国すれば長期の禁錮刑を科されるかもしれないことは分かっていると述べていた。

 裁判文書には、IS支配地域から逃れた経緯の説明はないが、元被告はシリア入りから2か月足らずの8月上旬、米国に戻って逮捕された。元被告は逮捕直後から犯行を自供し、検察への協力を開始。最終的に、当初FBIに伝えていた渡航計画で「国際テロに関わる虚偽の申告」をした罪を認めた。判決は比較的軽い禁錮2年で、昨年に釈放された。(c)AFP