■女子マラソン世界記録保持者からは批判の声

 一方、この提案にはスウェーデンの元名選手2人から批判の声が上がっている。女子七種競技の欧州記録保持者であるカロリナ・クリュフト(Carolina Kluft)氏は、同国の地元紙アフトンブラデッド(Aftonbladet)に対し、「私が完全にクリーンな状態で出した記録が剥奪されたら、当然腹が立ちます」と語った。

 また、1987年に男子走り高跳びで欧州記録を樹立した現在52歳のパトリック・ショーベリ(Patrik Sjoberg)氏も、2017年以前の全記録が「ドーピングをした選手」によるものと「暗示する」ことになるとして、今回の提案に反発した。

 さらに、英国陸上界の象徴的存在であり、女子マラソンの世界記録保持者として知られるポーラ・ラドクリフ(Paula Radcliffe)氏も、IAAFが保管している血液と尿サンプルは2005年以降のものであり、2003年に樹立した自身の記録が台無しになる可能性があるとして不快感を示している。

 ラドクリフ氏は自身のツイッター(Twitter)で、「傷ついていますし、私の名声や尊厳を損なうものです」とすると、「法的手段に訴えて裁判で違反が発覚した記録を一掃するという気概を見せる代わりに、ただ疑わしい記録を抹消しようとするなんて強引でひきょうなやり方です」とつづった。(c)AFP