■前国連事務総長の「失言」にモロッコ反発

 モロッコとポリサリオ戦線は資源が豊富な西サハラの領有権をめぐって1974年から戦闘状態にあったが、91年にモロッコが西サハラを実効支配下に置いた。双方はその後、国連の仲介で停戦合意に調印した。

 西サハラを不可分な領土の一部と主張するモロッコは自治権を提案したものの、ポリサリオ戦線は国連が和平案で提示した独立の是非を問う住民投票の実施を求めている。和平交渉は国連が07年に仲介に乗り出してから数回行われ、2012年に米ニューヨーク(New York)近郊で行われたのが現時点で最後の交渉だが、これまでのところ西サハラの将来の地位の解決に向けた進展はほとんどない。

 2016年に潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長(当時)は、西サハラが「占領」状態だと発言。これに猛反発したモロッコは国連要員の退去命令を出し、国連PKOを締め出す可能性も警告した。その後、国連要員の大半はモロッコに戻っている。

 アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)現国連事務総長は、モロッコ国王モハメド6世(Mohamed VI)と電話会談を行うとともに、先月ニューヨークの国連本部でポリサリオ戦線の指導者ブラヒム・グハリ(Brahim Ghali)氏と会い、和平交渉の再開を図っていた。(c)AFP/Carole LANDRY