■職人的な新たなスタイル

 需要を生み出すことには成功したものの、会社自体は利益の確保に四苦八苦している。

「この2年間、2人とも給料はなし」と嘆くマヘウさん。一時は夜間にウエートレスのアルバイトをしてなんとかしのいだこともあったという。だが2人はくじけない。

 2人がキノコ栽培事業を立ち上げた年、モントリオール市内の倉庫街には初の屋上菜園が登場し、地元産の有機農産物が販売されるようになった。

 屋上菜園で収穫された果物や野菜は、食料品店で売られている外国産に比べて価格は2倍近いが、半径100マイル以内で獲れたものだけを食べる「100マイル・ダイエット」という食習慣の流行で、地元産の需要はうなぎ登りだ。

「今こそ、われわれのフードシステムを変革する真の動機が存在すると思う」と言うオデット氏は、職人的な新たな生産者の一群が登場し、やがて一気に広まるだろうと予測する。そして「オルタナティブなフードシステム」を支援する取り組みは「さらに広まり、認知度が上がり、成功していくだろう」と述べた。(c)AFP/Julien BESSET