■観光客のすべてが性産業目当てではない

 だが、通常500バーツ(約1600円)ほどの少額の「バーファイン(bar fine)」という別料金を支払えば、店外に「短時間」連れ出すことができる。店の外で性行為のためのどんな取引がされようと、それは完全に客と性産業従事者の間のことというわけだ。

 当局が売春を根絶すると誓ってきた一方で、そうなった場合に大家族を支える存在であることも多い性産業従事者がどうなるかについての議論はほとんど行われてこなかった。

 正確なデータはないものの、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の2014年の報告書によると、タイ全土では約14万人、パタヤだけでも数万人の女性が性産業に従事していると推定される。

 観光当局は、パタヤのリゾート地を訪れる家族連れの数が増加し、ジェットスキーやゴルフといったスポーツの人気も高まっているとした上で、変化について楽観的な見方を示している。

 ホテル2000軒、10万部屋以上の収容能力があるパタヤを昨年、訪れた観光客は約1200万人。ある観光当局者は、パタヤを訪れる観光客のすべてが性産業目当てではないので、同市の悪評や犯罪絡みでの報道は問題だと認めている。

 10年前にパタヤに移住し、今では10軒ほどの店を所有する英国人は「(英中部)コベントリー(Coventry)にいた頃夜に外出すると毎晩1件か2件はけんかがあったものだ。ここは平和そのものだよ」と語った。

 しゃれたホテルやショッピングモール、ゴルフコースの存在によって、パタヤのパーティーのイメージと足並みをそろえて繁栄していくことができると語る人もいる。(c)AFP/Jerome TAYLOR