■言葉の壁を乗り越える

 笑い声が響く中、2012年に同協会を設立した時のメンバーの一人、ピナル・デミラル(Pinar Demiral)氏は、子どもたちは「純粋にサーカスの芸術を創作している」「私たちはサーカスを言葉の壁を乗り越える手段として使っている」と語った。

 丸1日のワークショップで講師たちは複数の言葉を操る。音楽やヒップホップのクラスも受講している子どもたちからの助けもある。

 講師らの大半はトルコ国外からやって来るボランティアだ。滞在期間は平均3か月。みんな英語が分かり、トルコ語とアラビア語を話せる人たちもいる。

 6年前にシリア内戦が始まって以来、31万人以上が死亡し、500万人以上が国を去った。トルコ内務省が3月に発表した数字によると、現在トルコに避難しているシリア難民は290万人を超える。

■唯一のルール

 トルコの子どもとは違い、戦争を目の当たりにして全く異なる経験をしてきたシリアの子どもたちを指導するのは容易ではない。

 デミラル氏は、「トルコ人とシリア人の子どもたちの間でけんかが起きることもある。だが彼らがここに来た初日から『戦ってはいけない』という唯一のルールを教えている」と説明する。そして、彼らが戦争を体験した子どもたちであることを心に留め、暴力の連鎖を断ち切りたいのだと語った。

「彼らは最初、力を誇示するためにけんかをしたがる。それでも同じ空間で平等に遊んでいるうちに、グループ間の緊張は和らいでいくものだ」 (c)AFP/Luana Sarmini-Buonaccorsi