【4月18日 AFP】サッカーアルゼンチン1部、CAベルグラーノ(CA Belgrano)の試合を観戦したファンが、この人物をライバルチームのサポーターと思い込んで怒った群衆にスタンドから突き落とされて死亡した。同クラブが17日、声明で発表した。

 アルゼンチン北部に位置するコルドバ(Cordoba)にあるベルグラーノのスタジアムで録画された15日のダービーマッチの映像には、エマヌエル・バルボ(Emanuel Balbo)さん(22)が約5メートルの高さから落下した様子が映し出されていた。

 バルボさんの父親はテレビの取材で、バルボさんは自身の兄弟が死亡した2012年の交通事故で、加害者であると訴えていた男と口論していたと話した。

 さらに目撃者の証言によると、この男はバルボさんに対してこの試合の対戦相手でライバルチームであるタジェレス・デ・コルドバ(CA Talleres)のサポーターでありながら、ベルグラーノのファンを装っていると叫んでいたという。

 これに刺激された群衆に襲い掛かられて階段を下りながら逃げたバルボさんはスタンドの端で突き落とされた。そして、頭部に重傷を負って2日間入院していた病院で、医師に脳死を宣告された。

 アルゼンチンサッカー協会(AFA)は、「この信じ難い暴行事件を起こした人物」を裁判にかけると訴え、「アルゼンチンのサッカースタジアムで二度とこのような事件が起きないように、必要な措置を講じる」と声明で述べた。

 警察の責任者はこの事件で16日に2人、17日にはさらに2人が逮捕されたと公表。検察官は容疑者を悪質な殺人に及んだとして起訴する方針を明らかにした。

 非政府活動団体のレッツ・セーブ・フットボール(Let's Save Football)によると、アルゼンチンでは2013年以降、サッカー関連で殺害された人数が40人以上に上っているとされている。

 同国のサッカーリーグでは同年以降、暴動事件を避けるためにアウェーファンはスタジアム入場を禁止されている。(c)AFP