【4月18日 MODE PRESS WATCH】92歳の伝説的写真家、ロバート・フランク(Robert Frank)の知られざる人生を描いたドキュメンタリー映画「Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代」が4月29日より公開される。

 1924年、スイス生まれのフランクは、「ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)」や「ヴォーグ(VOGUE)」などファッション雑誌でも活躍し、またフォトジャーナリズムでも注目を浴びてきた存在。ルイス・フォア(Louis Faurer)やウォーカー・エバンス(Walker Evans)に師事し、1958年には写真集「The Americans」を出版。アメリカ全土で撮影したその作品は、繁栄と理想に沸く大国のリアルな姿をとらえ、今も傑作と称されている。

 その後60年代からは映画製作にも着手し、ジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)やリチャード・リンクレーター(Richard Linklater)監督らにも影響を与えた。ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の北米ツアーに同行した「コックサッカー・ブルース」(1972年)などは、今も伝説として語られている。

 本作では、彼の意に反して法外な値段で落札される作品や、信頼していた弁護士に著作権を奪われてしまうなど、けっして順風満帆ではない様々な悲劇も描かれる。さらに娘や息子に相次いて先立たれるという不運に見舞われてなお、過酷な運命に立ち向かったフランクの生きざまには誰もが心動かされることだろう。生前のアレン・ギンズバーグ(Allen Ginsberg)やウィリアム・バロウズ(William S. Burroughs)など、才能ある友人たちの存在にもぜひ注目したい。

 監督は長年、フランクの映像作品の編集を担当したローラ・イスラエル(Laura Israel)。またローリング・ストーンズやボブ・ディラン(Bob Dylan)、パティ・スミス(Patti Smith)など豪華な面々が楽曲で映画に華を添えている。

「自分の運命を試すため」にアメリカへやってきたという、この伝説的写真家が、20世紀のアメリカをどう見つめていたのか、本作のタイトルどおり「瞬きせずに(don’t blink)」見つめてほしい。作品はBunkamuraル・シネマほか全国で順次公開。

■作品概要
・「Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代」
原題:DON’T BLINK - ROBERT FRANK
監督:ローラ・イスラエル
公開:4月29日(土・祝)Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開

■関連情報
・公式HP: http://robertfrank-movie.jp/
(c)MODE PRESS