【4月13日 AFP】中国の企業グループによるイタリア・セリエAの名門サッカークラブACミラン(AC Milan)の買収が、数回にわたる延期を経て、ようやく13日に完了する見込みとなっている。しかし、新オーナーが一体何者なのかはいまだに見えてこない。

 ミランは2016年8月、イタリアの元首相で、メディア王のシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)会長が、株式の大半を総額7億4000万ユーロ(約900億円)でシノ・ヨーロッパ・スポーツ(Sino-Europe SportsSES)へ売却することに合意した。

 頭金の支払いがたびたび遅れる問題はあったものの、ついにミランも中国企業に買収された欧州サッカークラブの仲間入りを果たすが、ミランのライバルであるインテル(Inter Milan)を買収した蘇寧(Suning)グループが中国全土で大きな知名度を持つ一方で、ミランの新オーナーについてはいまだ謎の部分も多い。

 元イタリア代表の指揮官で、現在は中国代表の指揮を執るマルチェロ・リッピ(Marcello Lippi)監督は、今週イタリアメディアに対して、「中国国内でも、彼らが何者かは誰も知らない。インテルを買った蘇寧は、間違いなく誰もが知っているのだが」と話した。

 今回の買収では、交渉を担当してきたリー・ヨンホン(Li Yonghong)氏とリー・ハン(Han Li)氏が、株式の25パーセントを取得すると報じられている。政府系企業の海峡資本(Haixia Capital)は当初20パーセントと伝えられていたが、割合が増す可能性もあるという。

 クラブの新たなエグゼクティブ・ディレクターには、ユベントス(Juventus)やインテルで役員を務め、リー氏らが数か月前にイタリア国内の代理人に指名した、マルコ・ファッソーネ(Marco Fassone)氏が就任するとみられる。

 リー氏はすでにイタリア入りしており、報道によれば、ベルルスコーニ氏側の代表と契約の細部を詰めたのち、13日に取引を終える予定だという。

 中国側は昨年、頭金として1億ユーロ(約120億円)の支払いを2回行ったが、3月に行われる予定だった3回目の支払いはまだ済ませていない。しかし、ベルルスコーニ氏は支払いの延期を認め、新たな期日を13日に設定した。

 ベルルスコーニ氏の息子で、ミランの副会長を務めるピエル・シルビオ(Pier Silvio Berlusconi)氏は、中国側が手を引いた場合、父親のベルルスコーニ氏は喜んでクラブを手元に残すが、これまでに支払われた頭金は返金しないと警告している。(c)AFP