【4月12日 AFP】2018年のサッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)まで1年余りの段階で、本大会出場へ後がない状況へ追い込まれたアルゼンチンは、エドガルド・バウサ(Edgardo Bauza)監督を解任し、後任にセビージャFC(Sevilla FC)を指揮するホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)監督の招へいを狙っていると言われる。

 W杯に確実に出場できる4位以内から漏れ、5位に転落したW杯優勝2回の強豪アルゼンチンは、バウサ監督を10日に解任し、現在は状況を好転させられる人物を探している。それはサンパオリ監督だろうか、それとも別の誰かだろうか。

■本命のサンパオリ監督とは相思相愛?

 サンパオリ監督なら、タイミングとしては申し分ない。スペイン1部リーグで今季セビージャを躍進させている監督は、先日、リオネル・メッシ(Lionel Messi)を指揮するのが夢だと話した。メッシも以前、サンパオリ監督はトップレベルの仕事を得るべきだと称賛している。

 世界最優秀選手を5回受賞しているメッシの言葉は、アルゼンチンサッカー協会(AFA)に対して大きな影響力を持つ。AFAは、35年にわたって協会を掌握したフリオ・グロンドーナ(Julio Grondona)氏が2014年に死去して以来、権力の真空状態にある。

 サンパオリ監督は、メッシやバウサ前監督と同じように、優秀なサッカー人を何人も輩出してきたサンタフェ(Santa Fe)州の出身で、代表は夏季休暇明けまで公式戦がなく、スペインのシーズンが終わってから代表へ来ても間に合うことを考えても、サンパオリ監督は有力な候補と言える。

 監督はペルーやエクアドル、チリでなどで監督を歴任した後、欧州に活躍の舞台を移した。最大の実績は、チリ代表監督時代のコパ・アメリカ(2015 Copa America)優勝で、メッシ擁するアルゼンチンを決勝で破っての快挙だった。

 指導者としては、稀代の戦術家マルセロ・ビエルサ(Marcelo Bielsa)監督の哲学を受け継ぐ人物で、バウサ監督の短い政権で見られた消極的なサッカーとは正反対の、能動的で攻撃的なスタイルを採用している。

 AFAは2016年にも、ヘラルド・マルティーノ(Gerardo Martino)元監督が辞任した後にサンパオリ監督に就任を打診している。監督は、セビージャと契約したばかりなので断らざるを得なかったと話したが、未練がある様子だった。

■第2候補はシメオネ?

 アルゼンチンのスポーツ日刊紙「オーレ(Ole)」は11日、「次期代表監督、本命はやはりサンパオリ」と一面で宣言しつつ、AFA幹部がアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)の「ディエゴ・シメオネ(Diego Simeone)とも会う」と報じた。

 AFAは、新会長のクラウディオ・タピア(Claudio Tapia)氏が欧州へ飛び、サンパオリ監督、シメオネ監督をはじめとする新指揮官候補と会談する予定となっている。

 46歳のシメオネ監督は、以前から代表チームの指揮に興味があると話す一方で、同時に今すぐ代表監督になりたいわけではないとも示唆している。アトレティコとは2018年まで契約を残しており、当面は欧州での指導者生活を続けそうに見える。

 いずれにせよ、次の監督の肩には甚大なプレッシャーがかかることになる。2014年のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)で、代表はW杯制覇まであと一歩というところで無念の準優勝に終わっており、サッカー好きの国民は、次は優勝トロフィー以外は要らないと考えている。

 しかしその前に、アルゼンチンは予選を突破しなくてはならない。しかも残された試合の大半でメッシはいない。メッシは審判を侮辱して出場停止を科され、予選残り4試合中3試合に出場できない。(c)AFP/Alexandre PEYRILLE