【4月12日 AFP】国際陸上競技連盟(IAAF)は11日、第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)で金メダルを獲得した男子110メートルハードルのセルゲイ・シュベンコフ(Sergey Shubenkov)や女子走り高跳びのマリア・クチナ(Maria Kuchina)らロシアの7選手について、中立の立場での出場を認めると発表した。

 これにより、7人は8月に行われる第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)を含めた国際大会に復帰できることになった。

 ロシアの陸上選手は、世界反ドーピング機関(WADA)から国家ぐるみの薬物違反がまん延していることを指摘されて以来、国家代表としての国際大会の出場を禁止されており、2016年夏のリオデジャネイロ五輪もほぼ全面的に締め出された。

 しかしこれで、IAAFから出場許可を得たロシアの選手は合計で12人となった。クチナはトップレベルの戦いの舞台に戻れて安心していると話し、ロシアの陸上界には、手放しとは言えないが楽観ムードが広がっている。

 IAAFのセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は、「献身的かつ勤勉に審査を続けてくれた、ドーピング・レビュー・ボードに感謝したい」と話した。

 シュベンコフとクチナの他に、薬物に関わっていないとみなされたのは、女子棒高跳びのイリア・ムドロフ(Illia Mudrov)とオルガ・ムリーナ(Olga Mullina)、男子競歩のセルゲイ・シロボコフ(Sergey Shirobokov)と女子競歩のヤナ・スメルドワ(Yana Smerdova)、男子走り高跳びのダニール・ツィプラコフ(Daniil Tsyplakov)の5人となる。

 クチナは国内通信社のRスポーツ(R-Sport)に対して、「もちろん一番は世界陸上で、そこへ向けて調整しなくてはなりません。パワーも気持ちも十分ですし、ここはまだ出発点。世界最高の選手がそろう厳しい戦いの場にようやく戻れてうれしいです」と話した。シュベンコフは、ロシアの出場停止が長引いていることを非難している。

 ロシア陸連(ARAF)の幹部はAFPに対し、もっと多くの選手が世界陸上の出場を望んでいると話し、「良い兆候です。われわれが長く待ち望んでいた判断をIAAFが下しました。しかしまだ、約70人のロシア陸上選手が中立での出場許可を待っており、申請はほぼ毎日増え続けています」とコメントした。(c)AFP/Peter STEBBINGS