【4月6日 AFP】2022年にサッカーW杯(2022 World Cup)を開催するカタールのスタジアム建設現場で、外国人労働者が労働基準法で定められた上限の2倍以上に相当する一日18時間労働を強いられていることが、外部報告書によって明らかになった。

 5日に公表されたコンプライアンス報告書によると、建設業者10社のうち半数以上が従業員に週休なしで働かせていることが判明した。英ロンドン(London)に拠点を置く倫理的貿易監査機関の調査結果によると、最も極端な例では一部の労働者が148日間連続で勤務し、5か月間も無休で働いていた計算になるという。

 最悪の事例としては、一部の労働者が一日18時間で週6日も働いていたことが報告されている。カタールの法律では、労働者の就労時間は週48時間、一日8時間相当と定められているのに加え、時間外労働については一日2時間に決められており、少なくとも週1日は休みを取ることになっている。

 今回の調査は、2022年のW杯が開催されるカタールの引き渡し・遺産最高委員会(Supreme Committee for Delivery and Legacy)の委託で行われたが、この報告でカタールに対する批判は高まるとみられている。

 報告書ではさらに、カタールで働くための手数料を支払うため、出稼ぎ労働者が借金に陥っているという継続的な問題があることも浮き彫りにされたほか、調査で面接を行った労働者253人のうち、約80パーセントが解雇されるのを恐れて問題提起をためらっていたことも判明。労働者2人は、「ストライキを誘発する動きがあった」との理由で昨年10月に解雇されていた。

 しかしながら、多くの業者が新たな労働基準法に従っており、報告書では「全体として改善」に向かっていると結論づけられている。報告書ではまた、さらに多くの業者による法の順守、労働者の強い主張、そして経営能力の強化が不可欠であると提言されている。

 W杯のプロジェクトにかかわる約200社の建設業者もしくは下請け会社で、現在9566人の労働者が働いているというカタールでは、大会に向けた巨大インフラ計画で毎週約5億ドル(約561億円)が費やされており、2022年大会に向けて計2000億ドル(約22兆4000億円)以上を投じることになるとみられる。(c)AFP/David HARDING