【4月5日 AFP】米国の洞穴で最古のトコジラミの半化石が発見された。この大昔の生物は現代のトコジラミとは異なり、人の血液を餌にはしていなかった。研究者らが4日、明らかにした。

 米国昆虫学会(Entomological Society of America)の衛生昆虫学誌「Journal of Medical Entomology」に掲載の研究論文によると、オレゴン(Oregon)州南部のペイズリー洞窟(Paisley Five Mile Point Caves)で見つかったトコジラミ3種(学名:Cimex pilosellus、Cimex latipennis、Cimex antennatus」はすべてコウモリに寄生するもので、半化石となっていた。5100年から1万1000年前のものだという。

 これまでに知られている最古のトコジラミは3500年前のもので、1999年にエジプトで発見された。

 研究論文の共同執筆者で、古代昆虫の特定を専門に行う「Paleoinsect Research」を率いるマーティン・アダムス(Martin Adams)氏は、今回発見された種について、現代のトコジラミ(学名:Cimex lectularius)の近縁種と特定。ただ、「私たちがよく知っている、ホテルの客室にいるトコジラミとは違う」語った。

 人に寄生するトコジラミとネッタイトコジラミ(学名:Cimex hemipterus)の2種は、数千年前の欧州およびアジア、アフリカで人がコウモリと洞穴を共有した時期に人を宿主とすることに順応したと考えられている。

 オレゴンで見つかったトコジラミに同様の変化が見られない理由については不明という。(c)AFP