■新法への期待と不安

 ベトナムでこの新たな法律が施行されれば、東南アジア諸国で初めて、トランスジェンダーの性別変更が法的に認められる。

 活動家らは、この法律が可能な限り多岐にわたることを望んでいるが、保健省は、ホルモン療法や性別適合手術を合法化するかどうかは検討中だとしている。

 新法では、性別変更を認める対象も規定されるが、現時点ではホルモン療法や手術を受けていない人は対象外となる見通しだ。

 これは、女性として生まれながら男性と自認するフォン・グエン(Phong Nguyen)さんのような人々にとっては、懸念材料になる。

 非営利のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)団体に所属する活動家のグエンさんは、ホルモン剤の使用をやめており、今後手術を受ける予定もない。従って、男性として生活しているものの、身分証明書上の性別は女性のままになっている。その結果、就職活動や銀行口座開設といった場面で、手続き上の苦労が絶えない。

 グエンさんは、「新法は、身体の状態がどうであれ、トランスジェンダーを自認する全員に適用されるべきだ」と訴えている。(c)AFP/Jenny VAUGHAN