【4月3日 AFP】東欧セルビアで2日、ミスラブ・ニコリッチ(Tomislav Nikolic)大統領の任期満了に伴う大統領選挙の第1回投票が行われ、世論調査会社イプソス(Ipsos)の推計によると、親欧州連合(EU)のアレクサンダル・ブチッチ(Aleksandar Vucic)首相(47)が過半数の票を獲得した。これにより、ブチッチ氏は決選投票を待たずに当選を決めた。

 ブチッチ氏が第1回投票で選挙を勝利を決めるには50%超の票を獲得する必要があったが、イプソスの推定では55%余りを得票した。同社の担当者はAFPに「彼が大統領に選ばれたと言える」と述べた。

 2位は前オンブズマンのサシャ・ヤンコビッチ(Salsa Jankovic)氏で得票率約16%。以下、候補者9人が続いた。

 ブチッチ氏はウルトラナショナリスト(超国家主義者)から親EU派に転向し、2014年の首相就任以降、権力基盤を固めてきた。同氏のセルビア進歩党(Serbian Progressive Party)は議会で安定多数を占めている。

 選挙戦中、野党からは権力が1人に集中し過ぎることを懸念する声が上がったが、ブチッチ氏は「ばかげている」と一蹴、「憲法を順守する」と確約した。

 セルビアの大統領職はおおむね儀礼的なものだが、専門家からはスロボダン・ミロシェビッチ(Slobodan Milosevic)元大統領やボリス・タディッチ(Boris Tadic)元大統領と同様に、ブチッチ氏も影響力の強化に動くとの見方が出ている。(c)AFP