【3月31日 AFP】パイロットや溶接工など職業上、常に高いレベルの電磁場にさらされている人は、致死性の「運動ニューロン疾患(NMD)」を発症するリスクが高いことが、31日に発表された研究論文で明らかになった。

 医学誌BMJに掲載された論文は、電磁界への暴露と、脳と脊髄の運動神経細胞の進行性変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)との関連を示している。この疾患は非常にまれで、10万人当たりの新たな発症例は年間平均2人、一般的には年齢55~65歳の間に発症することが多い。

 オランダ・ユトレヒト大学(Utrecht University)リスク評価学研究所のロエル・バーミューレン(Roel Vermeulen)教授率いる研究チームは、超低周波電磁界に高いレベルでさらされる職業の人は全くさらされたことのない人と比べ、ALSの発症率が2倍以上だと指摘した。

 研究チームは、55歳から69歳までの男女12万人の17年間にわたる観察診療記録を調査した。さらにこの期間にALSで死亡した男性76人と女性60人を、無作為に抽出された約4000人の対象群と比較した。

 しかし、こうした暴露の背後にどのような生物学的メカニズムがあるのかはまだ分かっておらず、控えめな見解を示す研究者もいる。英ランカスター大学(Lancaster University)のクリスチャン・ホルシャー(Christian Holscher)教授は「患者の数が極めて少ないため、この結果は慎重に受け取るべきだ」と語っている。(c)AFP