■世界的に有名な犬種が消える?

 英スコットランド(Scotland)のエディンバラ(Edinburgh)で、1872年に死ぬまで14年間、主人の墓の隣に座っていた世界的に有名な忠犬「グレーフライアーズ・ボビー(Greyfriars Bobby)」の犬種は、スカイ・テリアだ。

 そのスカイ・テリアも、絶滅が危惧される英国原産種とされ、昨年登録された子犬の数はわずか28匹にすぎなかった。現在残っているスカイ・テリアは英国内で600~800匹、世界全体でもわずか3000匹程度と推定され、同系交配を避けるために特段の注意を払わなければならない。

 また19世紀、当時のビクトリア女王(Queen Victoria)もその人気に飛びつくほどの大人気を誇っていたダンディ・ディンモント・テリアでは、昨年登録された子犬の数は91匹だけだった。

 平均で1000ポンド(約14万円)ほどするダンディは、アナグマ狩り用に生み出された犬種で、カワウソ狩り用に生み出されたオッターハウンド同様、当初の用途が違法となったことでその数を減らしている。

 オッターハウンドは今ではおとなしい飼い犬となっているが、原産地の英国に約400匹、世界全体でも800匹しか残っていない。昨年英国で登録されたオッターハウンドの子犬の数はわずか40匹だった。愛好者の会「オッターハウンド・クラブ(Otterhound Club)」のダリル・ブロッチー(Daryl Brotchie)会員は、その遺伝子プール(遺伝子給源)の小ささを危惧している。

 こうした英国原産の犬種をセレブが飼えば、その運命を好転させることができるかもしれないと期待を寄せる人もいる。

 しかしエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の愛犬として名高いウェルシュ・コーギー・ペンブロークでさえ絶滅が危惧されており、昨年登録された子犬の数は393匹にすぎなかった。(c)AFP/Robin MILLARD