■優勝候補の軸となるメルセデス、問題噴出のマクラーレン

 新シーズンの展望に関しては、ドライバー変更、また技術責任者のパディ・ロウ(Paddy Lowe)氏からジェームズ・アリソン(James Allison)氏への交代という変化があったとはいえ、メルセデスが優勝の筆頭候補、ハミルトンが最も注目すべきドライバーなのは変わらない。ボッタスも、すでにハミルトンの相棒としてスムーズに収まっている。

 一方、プレシーズンに悪い意味で最も話題をさらったのがマクラーレン・ホンダだった。取締役会の反乱によって、長年チームを支配したロン・デニス(Ron Dennis)最高経営責任者(CEO)が失脚。さらに合同テストでは、鳴り物入りの復帰から3年目を迎えたホンダの最新エンジンが、十分な出力も安定感も持ち合わせていないことが明らかになった。

 年間王者を2回経験しているフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)は、散々なテスト結果への不満を隠そうともせず、「信頼性もパワーもない」とコメントした。

 F1有数の名門にとってこれは屈辱的で、エリック・ブーリエ(Eric Boullier)代表は、まだシーズンが始まってもいないうちから、アロンソ移籍のうわさの火消しに追われている。

「彼は勝負したいと思っているし、われわれは勝負できる状況をつくって彼に満足してもらわなくてはならない…それができなければ、彼は自分で決断を下すだろう」

 リバティメディアによるF1買収の狂騒の裏では、不協和音が響き続けていた。同社はモータースポーツ・ディレクターという職を新たに創設し、ベネトン・フォーミュラ(Benetton Formula)やフェラーリのエンジニアとして年間チャンピオンを経験したロス・ブラウン(Ross Brawn)氏を迎え入れた。

 ブラウン氏の仕事は、F1という競技とレースを可能な限り魅力的なものにすることだが、現在のF1はメルセデスが席巻しており、過去3年はドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを総なめにしているだけでなく、グランプリ59レース中51レースを制している。

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー(Christian Horner)代表が、多くの関係者の意見を代弁している。同代表は、メルセデスの覇権が3年も続くと考えただけで「気分が悪くなる」と話しながらも、ハンディキャップ・ルールの導入を主張するまでには至らなかった。

 ブラウン氏も問題の所在は理解しており、そうした不自然な解決策の採用は否定した上で、「うわべの解決策はファンに見透かされる」との見解を示した。

「問題の本質は、金銭的なリソースなどの点で、公平な環境をいかにつくり出すかにある。だからこそ、F1の5か年計画の中には、チームの資金繰りや予算管理、資金配分などのテーマを盛り込まなくてはならない。今はチームによって格差がある」

 そうした問題を将来へ先送りにしたまま、F1が今週末、迫力を増した爆音とスピード感とともにサーキットへ戻ってくる。(c)AFP/Tim Collings