■SNSに怒りの声

 中国北部に位置する主要都市では、冬季に「深刻な煙霧」が発生する日数が、2014年の12日から、2015年の18日、2016年の25日へと急増した。

 深刻な煙霧は、微粒子濃度が大気1立方メートル当たり150マイクログラムを超えると発生する。

 今年1月、1億人以上が暮らす北京から天津(Tianjin)にかけての盆地上空に、日光をさえぎる分厚い煙霧の層が8日間連続で居座ったため、数万人が都市を脱出、国内ソーシャルネットワークは住民らの怒りの声であふれた。

 直径2.5マイクロメートル以下の微粒子の密度は数日間連続で1立方メートル当たり500マイクログラムを上回り、世界保健機関(WHO)が定めた危険しきい値の3倍以上に達した。

 肺への負担が大きいスモッグの発生に適した地理的・気象的条件がすべて同時に整う最悪の状況には、大気の上下層間の大きな気温差、微風、大気流の特定のパターンなどの要素が含まれる。

 今回、研究チームは「煙霧気象指数」を作成するために、これらの要素を組み合わせて、過去60年分の気象記録データとの照合を行った。15種類の気候モデルを平均化し、2050年~2100年にスモッグ発生日数が大幅に増加すると予測した。

 中国・復旦大学(Fudan University)の研究者の張人禾(Renhe Zhang)氏は、ネイチャー・クライメート・チェンジ誌に同時掲載された解説記事で「北京の重大な大気汚染のリスクを減らすために、地球温暖化を減速させるための国際的な取り組みが緊急に必要だ」とコメントしている。(c)AFP/Marlowe HOOD