【3月21日 AFP】ブラジルで食肉の安全性をめぐる不正問題が発覚したことを受けて20日、主要市場である中国が輸入を一時停止し、欧州連合(EU)も一部禁輸を要求するなど、影響は拡大する様相をみせている。さらに同じ南米のチリもブラジル産食肉の輸入を一時停止すると発表し、両国の貿易関係に亀裂が生じる懸念が高まっている。

 今回の不正問題では、公衆衛生検査官数十人が国内大手の食肉加工業者から賄賂を受け取り、腐った肉など衛生基準を満たさない食品を消費に適しているとして承認していたことが明らかになった。香港(Hong Kong)も含めてブラジル産食肉の最大の輸出市場である中国は、問題についてさらなる情報収集が必要だとの考えを示した。

 ブラジル農牧・食料供給省はインターネットに掲載した声明で、「中国はより多くの情報を得るまでは、ブラジル産の食肉は輸入しない」と述べた。

 EUの執行機関である欧州委員会(European Commission)のエンリコ・ブリビオ(Enrico Brivio)報道官はベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で記者団に対し、ブラジル政府に今回の不正に関与した4社の輸出を一時的に停止させるよう求めたことを明らかにした。その後間もなく、ブラジル政府は調査対象となっている食肉加工業者21社すべての輸出を停止したと発表した。

 しかし、チリがブラジル産食肉の輸入の一時停止を発表したことについては、ブライロ・マッジ(Blairo Maggi)農牧・食料供給相は、「わが国は魚や果物などチリ産品の主要な輸入国であり、われわれも(貿易の)壁をつくるべきだと国民は要求している。貿易とはそういうものだ」と怒りをあらわにし、報復措置も辞さない姿勢を示した。

 英経済調査会社キャピタル・エコノミクス(Capital Economics)は「ブラジルの輸出額が約35億ドル(約3900億円)減少する可能性があり、GDP(国内総生産)の約0.2%に相当する」と指摘している。(c)AFP/Damian WROCLAVSKY