【3月14日 AFP】英スコットランド(Scotland)の自治政府は13日、英国の欧州連合(EU)離脱手続き開始が間近に迫ったことを受けて、独立の是非を問う新たな住民投票を実施する方針を明らかにした。昨年の国民投票で決まったEU離脱が英国にもたらすリスクが、改めて露呈した格好だ。

 英下院は13日、テリーザ・メイ(Theresa May)首相にEU離脱を正式に開始する権限を与える法案について、上院が付与した2つの修正を削除することを可決。法案は上院に送られた。同法が上院の承認を経て成立すれば、メイ首相は以後いつでも離脱手続きに着手できる。

 英国がこれまで40年間加盟してきたEUからの離脱交渉開始が間近に迫ったことを受けて、スコットランド民族党(SNP)が率いるスコットランド自治政府は、改めて住民に独立の是非を問う投票の実施を求める姿勢を明らかにした。

 メイ首相は、移民の流入抑制を目的に、英国は欧州の単一市場から離脱すると言明。この方針に対しSNPは、雇用や成長を損なう可能性が高いとして、警鐘を鳴らしていた。

 昨年6月の国民投票では、スコットランド住民の大多数がEUへの残留を希望していた。SNP党首のニコラ・スタージョン(Nicola Sturgeon)自治政府首相は同投票でEU離脱が承認されたことを受け、スコットランドは異なる未来を模索すると表明していた。

 スタージョン氏は13日、この言葉通り、スコットランドに「このプロセスの終わりに選択肢」を与えると発表。独立の是非を問う投票を来年秋から2019年初めまでに実施する権限を求めて、来週にも働き掛けを開始する意向を示した。

 スコットランド自治政府が行ったこの発表により、EU加盟27か国との交渉開始準備を進めるメイ首相が抱えるEU離脱に関する最大の懸念の一つである英国分裂の可能性に改めて注目が集まっている。(c)AFP/Alice RITCHIE/with Mark MCLAUGHLIN in Edinburgh