■神々のために

 しかしチャウパディの廃止を目指したこれまでの試みは、この慣習を支える深い迷信的な信仰の前に失敗に終わってきた。

 長年にわたりチャウパディ廃止を目指してきた人権活動家のペマ・ラキ(Pema Lhaki)氏によると、首都カトマンズ(Kathmandu)でさえ4世帯につき1世帯が、生理中の女性に台所や祈りの部屋への立ち入りを禁じるといった何らかの制約を課しているという。

 ラキ氏によると、この慣習を廃止しようとする試みのほとんどがチャウ・ゴットの破壊を目標に掲げてきた。しかし一部の地域で女性にもっと粗末な小屋や屋外での寝起きを強制した事例もみられ、女性が家から追い出されるのを防ぐことはできなかった。

 ラキ氏は「女性自身に決定権を与える前に生理期間を過ごす小屋を破壊するというのは表面的な目標にすぎない。小屋は残すべきだ。小屋があるのに女性がその中に入らなくなれば成功だといえる」と述べ、単に国際ドナーが設定した基準を満たすためにチャウ・ゴットの破壊を推し進める政府を批判した。

 この慣習をかたくなに守ろうとしているのはネパール農村部の嘆かわしいほどにお粗末な医療サービスの間隙を埋めている村のまじない師たち。それと長老たちだ。

 村はずれの家で、頭からつま先まで覆う白い衣装を身に着けたまじない師のケーシャル・ギリ(Keshar Giri)さんは、多くの病気の原因はチャウパディに従わない女性なのだと説いていた。彼は何らかの問題を抱えて訪れた女性にこの慣習に従うようアドバイスすることが多いという。

 ケーシャル・ギリさんは「こうした数日間(生理期間中)女性に遠ざかるよう命じるのは人ではない、われわれが崇拝する神なのだ」「それが神々のためになるのだ」と語った。(c)AFP/Annabel SYMINGTON