【3月17日 AFP】ネパール西部にあるこのわらぶき屋根の小屋に寒さを防ぐ壁はない。中は一段高くなっており、生理中の女性を不浄な存在とみなすヒンズー教の慣習「チャウパディ(Chhaupadi)」に従って家を追い出されている間、パブリタ・ギリ(Pabrita Giri)さん(23)はここで眠るのだ。

 この「チャウ・ゴット」と呼ばれる小屋でギリさんは小さな火をたいて暖を取る。窮屈な小屋の中に煙が充満し涙が流れる。

 ギリさんは「チャウパディに従わなければ良くないことが起きるが、従えば(神々が)利益を授けてくれるとされている。効果があると思っているから生理中はこの慣習に従うの」と語った。

 ギリさんは身の回りを指し示しながら「もうこの慣習にも慣れたけど、はじめの頃は怖かった。家族から離れてこんな場所で暗い夜を過ごさなければならないんだから」と語った。

 生理中の女性を汚れているとみなすこの慣習は数世紀にわたって続いている。女性たちは家から追い出され、食べ物、宗教的象徴、牛、男性に触れることを禁じられ、簡素な小屋での追放生活を強いられる。

 出産後の女性も1か月間チャウ・ゴットで過ごさなければならない地域もある。

 最近チャウパディを行っていた2人の女性が死亡した。1人は暖を取るための火から出た煙を吸って窒息死した。もう1人の死因は明らかにされていない。これらの事件を受けて、この慣習は終わらせるべきだという運動に拍車がかかった。

 チャウパディは10年前ほど前に禁止されたが、この慣習の女性への強制を自由刑が科される犯罪とする法案が議会で審議中だ。

 この法案を推進しているクリシュナ・バクタ・ポクレル(Krishna Bhakta Pokhrel)議員はAFPに対し「女性はチャウパディを伝統として受け入れてきた。法律でチャウパディが犯罪と規定されたらこの伝統はすたれ、多くの女性の権利と生命が守られるだろう」と語った。