【3月10日 AFP】背の低い欧州系の男性は、早期脱毛症になるリスクが高いとする新たな研究結果が8日、発表された。

 同論文の主執筆者で、独ボン大学(University of Bonn)のシュテファニー・ハイルマン・ハインバッハ(Stefanie Heilmann-Heimbach)教授は、AFPの取材に「相対的に低身長の男性ほど、頭髪を失う可能性が高くなるようだ。毛髪脱毛症に関与する遺伝子の一部は、概して低身長に関連していることを、今回の研究データは示している」と語った。

 過去の研究では、いわゆる男性型脱毛症の男性はそれ以外の男性に比べて、心臓病と前立腺がんを発症する確率が統計的にわずかだが高いことが示されている。また、体が小さいことと、思春期の始まりが早いことも、ともに男性の脱毛症と関連がある。

 人間の身長を制御する遺伝子の一部が、これらの状態や疾患の発生にも関与していることが考えられる。

 同教授によると、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された今回の研究では「若年性脱毛症のリスクを上昇させる」遺伝子変異を63個特定したという。

 だが今回の研究では、身長との関連を明らかにするまでには至っていないと、同教授は付け加えた。また、身長の高低に関連する脱毛症の相対リスクの定量化も行われていない。

 同教授は、取材に応じた電子メールで「脱毛と身長の両方を評価する研究を重ねることで、この疑問に答えを出すことができるかもしれない」と述べた。

 だが、低身長との統計的な関連性は明確だった。

 欧州系の男性では通常、30歳台で薄毛化が始まる。欧州系男性の最大80%が、程度の差はあれ何らかの影響を受ける。

 アジア人の場合、抜け毛が始まるのはこれより10年ほど後で、全体の発生頻度ははるかに低く、影響を受ける男性は全体の50~60%だ。

 今回の研究で発見された遺伝子変異の一部は「治療的介入の有望なターゲットとなる可能性がある」と、同教授は話した。(c)AFP