【3月9日 AFP】女性のいない一日とは、どのようなものだろうか? 米首都郊外の都市アレクサンドリア(Alexandria)で8日、国際女性デー(International Women's Day)のイベントに参加するために休暇を申請する教師が続出し、域内の公立学校全てが休校を余儀なくされる事態となった。

 米バージニア(Virginia)州北部の革新的な都市アレクサンドリアが下した前例のないこの決定は、保護者が混乱に対応できるようにと2日前に発表されたこともあり、おおむね好意的に受け止められたとみられる。

 市内のパトリック・ヘンリー(Patrick Henry)小学校では、この影響を和らげるため託児サービスをわずか15ドル(約1700円)で提供し、保護者が休暇を取らずに済む対応を取った。

 幼い娘を預けに来た住民のエリザベス・プロクターさんは、社会における女性の極めて重要な役割に注目してもらうため呼び掛けられた全国規模の抗議デモ「女性のいない一日(Day Without a Woman)」の一環となった今回の動きについて、「全面的に」支持すると語った。

 プロクターさんはAFPに対し、「私たちがどれほどの働きをしているか、周りの世界にどれほどの影響を与えているかはとても明らか」と語った。

 別の保護者のニコール・ラドショーさんは、デモに参加するため休暇を取ることをためらわなかったと明かした。ラドショーさんは、「一部の人たちにとっては、休校は都合が悪いことかもしれないけれど、こういう行動が効果を生むためには破壊的である必要があると思う」と語り、一時的な都合の悪さは「女性が社会や今の政治情勢で直面している都合の悪さや問題に比べれば少ない」と指摘した。

■前例のない対応

 8日のデモは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の就任直後に行われた大規模な抗議デモ「女性の行進(Women's March)」に関わった複数の団体の一部が率いた。

 主催者らは、不平等賃金などの問題に関心を持ってもらうため、仕事を休み、買い物にも行かないよう女性たちに呼び掛けた。

 アレクサンドリアの学校では、参加者は膨大な数となった。市内公立学校の連絡調整責任者ヘレン・ロイド(Helen Lloyd)氏によれば、教師1400人のうち300人以上が休暇を申請したという。

 ロイド氏は、「これは私たちにとって前例のないことです」、「アレクサンドリアの公立学校でこのような対応を取らなければならなかったのは、初めてです。これほど多くのスタッフが同じ日に個人的な都合で休暇を願い出たことは、過去に一度もありません」と語ったが、休校の措置を取ったことによって、アレクサンドリアが政治的なメッセージを送ったわけではないと強調した。

 選挙活動中に複数のセクハラ疑惑で厳しい立場に追い込まれたことのあるトランプ大統領は、8日にツイッター(Twitter)への投稿で女性に対し「途方もない敬意」を抱いていると述べたが、その後ソーシャルメディア上にはこれをあざけるコメントが殺到した。(c)AFP/Marc Antoine BAUDOUX