【5月3日 AFP】キューバ南東部グアンタナモ(Guantanamo)にある米海軍基地収容所に共に収容された2人のアフガニスタン人。2人は友人同士だが、釈放された後は、まったく違う道を選んだ──一人はイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員となり、もう一人はIS打倒を目指す米国主導の連合軍に加わった。

 共に詩を愛し、深い友情で結ばれていたハジ・ガリブ(Haji Ghalib)元収容者とアブドゥル・ラヒム・ムスリム・ドスト(Abdul Rahim Muslim Dost)元収容者は、2001年9月11日の米同時多発攻撃後の米国の捜査網に掛かって拘束され、遠くグアンタナモ収容所へと送られた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)前米政権が目指したグアンタナモ収容所の縮小だが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がこれを覆そうとしている。かつての友人2人がたどった運命には、まさに過激派根絶の闘いにおけるグアンタナモの負の遺産が凝縮されている。

「グアンタナモは地球上で最悪の場所だ」と、ガリブ元収容者は言う。自分の年齢をおそらく49歳と話すそのやつれた顔には、深いしわがしっかりと刻まれている。

 ガリブ元収容者は「なぜ私は捕らわれたのか? 彼らはなぜ私の人生のうちの5年間を台無しにしたのか? なぜ公正な裁きも補償もないのか?」と日々、自問を繰り返しているという。

 旧ソ連軍と旧支配勢力タリバン(Taliban)に対しては、「恐怖の司令官」としてアフガニスタンでその名をとどろかせたガリブ元収容者だが、警官となっていた2003年に突然、反政府勢力との関係を疑われた。当局はガリブ元収容者を辱めるかのように公の場で彼を罷免。警官の制服をはぎ取り、彼をグアンタナモに送った。米軍が2007年に「国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)あるいはタリバンのメンバーであるとの判断はできない」との結論に至るまで、彼は5年間収容された。

 釈放されたとき、ガリブ元収容者はこの怒りを米国ではなく、タリバンに向けた。彼はタリバンを「アフガニスタンの真の敵」と呼ぶ。最近では、アフガニスタンに触手を伸ばしているISにもその怒りは向けられている。

 そのISの戦闘員に、かつての友人ムスリム・ドスト元収容者がいる。ガリブ元収容者よりも2年早くグアンタナモから釈放された彼は現在、アフガニスタンのナンガルハル(Nangarhar)州東部でIS司令官として活動していると、欧米やアフガン当局はみている。