【3月8日 AFP】カンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)1部のシャペコエンセ(Chapecoense)で控えGKを務めていたブラジル出身のジャクソン・フォルマン(Jakson Follmann)は、クラブ関係者のほとんどが失われた航空機墜落事故で生き残ってから、自身で「勝利」と呼べる最初の一歩を踏み出し、始まったばかりの人生最大のシーズンに立ち向かっている。

 昨年のコパ・スダメリカーナ(2016 Copa Sudamericana)で決勝へ勝ち上がる快進撃をみせ、サッカー大国のブラジルで最も勢いに乗っていたシャペコエンセは、同11月28日、その大一番に臨むためコロンビア・メデジン(Medellin)に向かっていた途中で乗っていた航空機が墜落し、チームのほとんどが犠牲になった。

 スター選手の守護神マルコス・ダニーロ(Marcos Danilo Padilha)を含め71人が亡くなったこの事故で、フォルマンは右脚を失ったものの、ほかの5人とともに奇跡的に助かり、闘争心と自制心を全力で傾けながら人生の再起を目指している。

「僕の目標は立ち上がって歩くこと」と話す24歳のフォルマンは現在、リハビリセンターで義足を使った歩行練習を行いながら、さまざまなけがを克服することを目指している。そして事故から3か月が経過し、補助なしで最初の一歩を踏み出せたものの、これから先も長い道のりが待ちうけている。

「自分の力だけでバスルームに行き、歯を磨けるようにしたい。普段は誰も意識しないような、あらゆる単純な物事が目標だ」

 フォルマンは13歳のときに故郷のアレクリン(Alecrim)を離れ、下部リーグのチームでもまれながら、常に1部リーグでプレーする夢を持ち続けていた。

 おとぎ話のような成功から一転して悲劇に遭遇したフォルマンだったが、気持ちは折れておらず、「このことで泣いたり自分を哀れんだりしていても、何の役にも立たない」と穏やかな声で語った。