【3月3日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権下の米国でのイスラム教徒の待遇にショックを受け、豪オルタナティブロックバンド「ノイズ・アディクト(Noise Addict)」のフロントマンとして知られる歌手ベン・リー(Ben Lee、38)が3日、イスラム教への理解を深められる楽曲を集めた新アルバムをインディーズで発売する。

 アルバムのタイトルは、「Ben Lee Sings Songs About Islam for the Whole Family(ベン・リーが全ての家族のために歌うイスラム教の曲)」。特に子どもたちの心に響くことを願い、幼稚園のクラスで歌えるような軽快なメロディに乗せて、聖典コーラン(Koran)に基づいたイスラム教の核となる信仰を説明している。

 米ロサンゼルス(Los Angeles)在住のリーは、歌手としてのキャリアや7歳になる娘を育てた経験から、歌の力を確信していると話した。

「ポップソングは素晴らしい。どんなことでも歌えるし、キャッチーな旋律に乗せて2分半の歌詞にまとめれば、覚えやすい」。AFPのインタビューにこう語ったリーは、「僕もそろそろ、人類の未来に何らかの影響を残すなら次世代の心に響くことをすればいいと気付く年齢になったんだろう」と笑った。

 新アルバムの売り上げは全額、イスラム圏7か国を対象とした入国禁止令などトランプ大統領の政策の人権問題を激しく批判している米非営利組織「米国自由人権協会(ACLU)」に寄付するという。

 しかし、リーは新アルバムを政治的な作品だとは考えていない。アルバムの目的について「焦点は、共有性や、文化的説話をまず神話学的に考えること。そして、子どもたちに文字通りに解釈するのではなく神話として考えてもらうようにすることだ。ギリシャ神話やシェイクスピア(Shakespeare)と同じく、(イスラム教の教えは人間性について素晴らしい洞察を与えてくれる」と述べている。(c)AFP/Shaun TANDON