【3月2日 AFP】フィリピンの刑務所内で行われた持ち物検査の際に、多数の受刑者たちが全裸になって座らせられている様子を捉えた画像が公となり、同国のロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が推し進める麻薬撲滅戦争の名の下、さらなる人権侵害が行われているとして非難が巻き起こっている。

 AFPの取材に応じた刑務所職員のラファエル・エスピナ(Rafael Espina)氏によると、セブ(Cebu)島の刑務所で先月28日未明、麻薬取締当局、および警察・軍による監房内の捜索が行われた際、睡眠中だった受刑者たちが所内の広場に集められ、服を脱ぐように命じられたという。

 麻薬取締当局と警察当局が公開した画像には、照明が照らされ、武装警官が警戒に当たる中、受刑者らが全裸のままあぐらをかいた姿勢で座り、コンクリートの床の上で列をつくって並んでいる様子が捉えられていた。また麻薬取締当局が発表した声明によると、今回の捜索により、ナイフや携帯電話とともに、覚せい剤の一種であるメタンフェタミンやマリフアナ入りの「包み数袋」が発見されたという。

 ソーシャルメディア上で拡散している画像については、人権団体が懸念を示しており、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は「この行いは明らかに残酷で非人道的であり、受刑者の待遇を悪化させるもの」とする声明を発表した。

 フィリピンの麻薬取締当局の報道官、デリック・キャレオン(Derrick Carreon)氏によると、受刑者たちが服を脱がされたのは地元自治体の首長と刑務官らの命令に基づいたものだったという。(c)AFP