【2月28日 AFP】26日に開催された第89回アカデミー賞(Academy Awards)授賞式では、作品賞の誤発表というにわかに信じ難い「大失態」が起きた──。世間では、同賞史上最悪ともいえる誤発表の話題で持ち切りとなってしまったが、一部の評論家たちは、これによって授賞式での注目すべき出来事から人々の関心が逸れてしまったと指摘している。

 今年のアカデミー賞において、影の薄くなってしまった見どころ5つを以下に紹介する。

■本当に多様性は見られたのか?

 2016年のアカデミー賞では、非白人俳優が2年連続で一人もノミネートされなかったことを受け、SNSではハッシュタグ「#OscarsSoWhite(オスカーは真っ白)」がはやった。しかし今年は、バリ―・ジェンキンス(Barry Jenkins)監督作品『ムーンライト(Moonlight)』が、現代のアフリカ系米国人若者の姿を鋭く描いているとして多くの共感を生んだ。

 今年の賞では、アフリカ系の俳優6人とアフリカ系米国人をテーマにしたドキュメンタリー3作品がノミネートされた。ジェンキンス監督とタレル・マクレイニー(Tarell McCraney)氏の『ムーンライト』とアニメ映画『ズートピア(Zootopia)』は人種を作品のテーマに据えてそれぞれ受賞を果たした。

 しかし、人種の問題は単に黒人と白人の間だけにとどまらないと指摘する声も上がった。

 アフリカ系以外の非白人俳優としてノミネートされたのが、インド系英国人のデヴ・パテル(Dev Patel)たった一人だったからだ。そして、短編ドキュメンタリー賞を受賞した『ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊(The White Helmets)』と外国語映画賞を受賞したイラン人監督アスガー・ファルハディ(Asghar Farhadi)氏の『セールスマン(The Salesman)」の2本のみが、中東地域全体の映画界を代表する形となったことも、この厳しい意見の背景にある。