■リンケビー住民と識者の声

 リンケビーの住民は地元の日常生活の現実の捉え方で意見が分かれている。リンケビーは開発こそ遅れてはいるが緑豊かで、革新的な高校が1校あり、そこには毎年ノーベル賞(Nobel Prize)受賞者が訪れるという。

 リンケビーで生まれ育った28歳の女性店主はAFPの取材に対し、自分はこの町に残って会計士になることを目指していると語り、「友人の中には、不動産業者もいれば、政党で働いている人、記者や弁護士もいる」が、服役中の友人も何人かいると明かした。

 トルコ系の保守派の地元議員は日刊紙エクスプレッセン(Expressen)に、「平均すると暴動は毎月1回、車の放火は毎日起きている。(住民1人当たりの)射殺事件の発生件数は国内で最も多い」と語り、同地では犯罪が「日常の一部」になっていると認めた。

 それでも社会学者の社会学者のオスカル・アデンフェルト(Oskar Adenfelt)氏は、トランプ氏が一部の層を、民族や宗教を理由にひとくくりに悪とみなすのは間違っていると強調。より大きな影響を及ぼすのは社会経済的な状況の方だとアデンフェルト氏は分析している。

 同氏はAFPに対し、「犯罪者の中で外国生まれのスウェーデン人の占める割合は確かに高いが、研究によってそれは3つの要因によるものと示されている。司法制度における差別、出身国と移住時の状況、そして移住先の国での生活状況だ」と話した。

 スウェーデンの歴史家カール・マルクルンド(Carl Marklund)氏は日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(Dagens Nyheter)で、スウェーデンは「米国のリベラルと外国の革新派からは肯定的な模範として見られている」一方、右派勢力「オルト・ライト」(オルタナ右翼)からは「格好の標的」にされていると指摘した。(c)AFP/Gaël BRANCHEREAU/Ilgin KARLIDAG