■「監視は不可能に近い」

 ミャンマーではキン・キン・トゥンさん姉妹のほかにも、急成長する都市部で増えるエリート層の家で使用人として働き、家計を助けている子どもたちが大勢いる。

 この児童労働の問題は昨年、最大都市ヤンゴン(Yangon)の洋裁店で使用人として働いていた10代の少女2人が救出されたことから注目を集めた。彼女たちは5年間、睡眠も食事もろくに与えられず、殴られたり刺されたりするなどの暴力行為を受けていた。

 この事件はミャンマーに衝撃を与え、大統領は捜査を命じた。同国の事実上の指導者であるアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏は、人権擁護を約束しているが、具体的な対策は何も取られていない。

 国際労働機関(ILO)ヤンゴン支部の連絡調整官代理のピヤマル・ピチャイワンセ(Piyamal Pichaiwongse)氏は「監視は不可能に近い」と話す。そして「(子どもたちを)守る最善の方策はやはり、教育と貧困の削減だ」と指摘した。

 ティ・ティ・ヌウェさんのNGOの事務所で語ったキン・キン・トゥンさんによると、縛り上げられて、燃える木で焼き印を押されたこともあるという。

 また、姉妹で血が出るまで殴り合い、傷口に唐辛子の粉や酢などを塗れと強制されたこともあった。「言われた通りにしなかったら殴られるので、やるしかなかった」と目に涙をためながら静かに語った。

 キン・キン・トゥンさんは、今でも目まいがすることがあるという。ただ、妹と一緒に新しい人生を歩んでいけることに希望を見いだしており、「妹には学校に戻ってほしい」と語る。そして自らについては、「この年で学校に戻れるのだろうか?」とつぶやいた。(c)AFP/Hla-Hla HTAY