【2月18日 AFP】米国体操連盟(USA Gymnastics)の元チームドクターが女子選手に性的暴行を加えていたとする問題で、同国テレビ局CBSは17日、五輪メダリストを含む元選手3人が名乗り出て、被害に遭った当時の様子を克明に語ったと報じた。

 選手の保護を怠ったとして同連盟を訴えた40人の女性の代理人を務めているジョン・マンリー(John Manly)弁護士は、代表チームの医師を務めていたラリー・ナサール(Larry Nassar)被告が、20年以上にわたり数百人もの女子選手を虐待していた可能性があると主張した。その中には五輪選手も含まれており、少なくともそのうち一人は9歳だったとしている。

 マンリー弁護士は、19日に放送予定のCBSのニュース番組「60ミニッツ(60 Minutes)」で、「少なくとも60人が被害を訴えていますが、私の推測では数百人以上に上る可能性があります。最終的には1996年以降の五輪チームすべてに、彼から被害を受けた選手が含まれているはずです」と語った。

 昨年、米ミシガン(Michigan)州で子どもへの性的虐待で逮捕された52歳のナサール被告は、同12月に児童ポルノの画像などを所持していたとして起訴された。

 1996年から2015年まで五輪チームの医師として、米代表の体操選手を治療していたナサール被告について、原告の女性らは、肛門や膣に指を入れられたり、胸をまさぐられたりしたと主張。これについてナサール被告は、適切な医療処置を行っただけだとして容疑を否定している。

 1999年から2001年にかけて新体操の全米女王に君臨していたジェシカ・ハワード(Jessica Howard)さんは番組の中で、ヒューストン(Houston)近郊にあるベラ・カローリ(Bela Karolyi)コーチの練習施設で、ナスール被告の診察を受けたときの様子を詳細に明かした。

 現在33歳になるハワードさんは、「彼が私をマッサージし始めると、下着は何もつけるなと話し、それからどんどんデリケートな場所に移動していきました。何か変だと思いましたが、何も言える状況ではなかったのを覚えています。彼は高名な医師で、その治療を受けられるのはとても幸運だと思っていましたから。みんな、『そうね、あの人の触り方は何だか変』と言っていました」と語った。

 1995年から2000年の米代表メンバーで、1999年に中国で開催された世界体操競技選手権(World Artistic Gymnastics Championships)に出場したジャネット・アントリン(Jeanette Antolin)さんも、ナスール被告を信頼していたと回想し、「場所に違和感を覚えましたが、『これが役に立つなら、何でもする。これは治療。治療に文句を言ってはだめ』と自分に言い聞かせていました」と語った

 3人目として証言した女性は、放送された番組の宣伝では身元が明らかになっていない。(c)AFP