【2月17日 AFP】注意欠如・多動性障害(ADHD)と診断された人の脳は、ない人に比べてわずかに小さいとする研究論文が16日、発表された。ADHDは身体的な疾患であり、単なる行動の問題ではないと論文は主張している。

 研究者らは、ADHDの人の脳についての分析が過去最大規模で行われた今回の研究で、「構造的な違い」や発育の遅れの証拠が見つかったとしている。

 オランダ・ラドバウド大学(Radboud University)医療センターのMartine Hoogman氏が率いた研究は、ADHDと診断された1713人とADHDのない1529人を対象に行われた。研究論文は、英精神医学専門誌ランセット・サイキアトリー(Lancet Psychiatry)に発表された。

 子どもに多く診断されるADHDでは、不注意、多動性、衝動性の症状がみられ、学校や家庭において支障をきたすことがある。

 ADHDの原因をめぐっては論争が続いており、なかには難しい性格の子どもを抑えるための薬を使う口実にすぎないとか、親が悪いとする専門家もいる。ADHD治療に使用されるリタリンのような薬については、副作用があることも指摘されている。

 今回の研究では、4歳から63歳までの被験者らにMRIスキャンを受けてもらい、その結果を分析。脳スキャンの画像から、脳全体および障害に関連すると考えられている7つの領域の大きさが測定された。その結果、ADHDと診断された人の脳では、全体そして5つの領域がより小さいことが確認された。

 研究結果についてHoogman氏は「その差は極めて小さく、数%の範囲内だった。これらの差を見極めるうえで、研究が前例のない規模であったことが大いに役立った」と述べている。違いが確認された領域には、情動の制御をつかさどるへんとう体も含まれていたという。

 研究では、ADHDの薬の投与有無と脳の大きさには関連性は見られなかった。これにより薬が脳の変化に寄与していないことが示された。

 Hoogman氏は、「研究を通じて構造の違いが確認され、ADHDが脳の疾患であることが示された」としながら、「この研究結が、ADHDを『単なる難しい子ども』や『親の教育の問題』とするレッテル貼りをなくす一助になることを願う」と話した。(c)AFP/Mariëtte Le Roux