【2月15日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏がマレーシア・クアラルンプール(Kuala Lumpur)の空港で殺害された事件で、マレーシアの警察当局は15日、容疑者の女1人を逮捕した。

 韓国政府は北朝鮮の工作員の女が毒物を使用した可能性を指摘していた一方、現地の警察当局によると、女はベトナムのパスポートを所持していたという。

 マレーシア警察のハリド・アブ・バカル(Khalid Abu Bakar)長官は、ドアン・ティ・フオン(Doan Thi Huong)容疑者(28)が15日午前、空港で逮捕されたと発表。

 ハリド長官は声明で、フオン容疑者は「空港の監視カメラの映像から確実に特定されており、逮捕時には一人だった」と述べている。

 マレーシアのメディアが伝えた、工作員の一人を捉えたとされる監視カメラの画像には、「LOL」と書かれた白いトップスを着たアジア系と思われる女性が映っていた。

 また、韓国の情報機関・国家情報院(国情院)の李炳浩(イ・ビョンホ、Lee Byung-Ho)院長によると、金正男氏は13日朝、長年亡命生活を送っていたマカオ(Macau)へ向かう便に搭乗しようとしていたところ、2人の女に襲われたという。

 一方、クアラルンプールの病院では、金正男氏の死について手がかりを得るべく、司法解剖が行われた。

 AFPの取材に応じたスランゴール(Selangor)州の警察当局トップによると、司法解剖は15日の夕方までに終了したものの、病院側から結果についての発表はないという。

 この病院にある法医学部門の建物の外では、北朝鮮の国旗を掲げた黒いジャガー(Jaguar)製セダンに乗って、国旗をあしらったピンバッジを着用した北朝鮮の当局者4人が現れたが、現地時間の午後8時(日本時間午後9時)頃、報道陣に応じることなく立ち去った。(c)AFP/M JEGATHESAN, with Park Chan-Kyong in Seoul