【2月14日 AFP】韓国の人権活動家らは14日、中国東北部で活動していた多数の韓国人宣教師を、中国当局が国外追放したと明らかにした。宣教師の中には脱北者支援に携わっていた人物も含まれているという。

 人権活動家のキム・ヒテ(Kim Hee-Tae)牧師がAFPに語ったところによると、北朝鮮との国境沿いに位置する吉林(Jilin)省に滞在していた宣教師70人とその家族ら、合わせて約170人の韓国人が、先月10日から今月10日にかけて追放された。

 キム氏は、宣教師たちの住宅に踏み込んできた当局が「ビザの問題」を引き合いに出し、出国を命じたと明かした。宣教師の多くが観光ビザ、もしくは学生ビザで滞在していたという。

 中国国内で登録されている韓国人宣教師はおよそ500人だが、約2000人の韓国人キリスト教関係者が人道支援活動に従事しており、中には危険を冒して脱北してきた人々の援助に当たる人もいる。キム氏によると、追放された宣教師の約20%が脱北者の世話に当たっていたという。

 キム氏また、一連の取り締まりの結果、およそ40人の脱北者が北朝鮮に送還された可能性があることを明らかにした。

 脱北者は一般的にまず中国に渡り、第三国を経由して韓国への渡航を試みる。もし北朝鮮に送還されれば、厳しい罰が与えられる可能性もある。

 韓国外務省は宣教師らに対し、海外での活動の際は「さらに警戒する」よう注意を促していた。

 中国政府は外国の宣教団の布教活動を禁止しているが、これまで当局は、貧困がまん延する東北部においては宣教団の活動を黙認しており、宣教師たちは援助金や生活必需品などを提供していたという。(c)AFP