【2月14日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配しているイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は13日、ガザ地区の新指導者に軍事部門の強硬派、ヤヒヤ・シンワール(Yahya Sinwar)氏を選出した。ハマス関係者が匿名を条件に明らかにした。イスラエルに対してさらに厳しい姿勢を示すとみられる。

 シンワール氏は2008年以降イスラエルと3回の大規模な戦闘を繰り広げたハマスの中で最も強硬な人物の一人。シンワール氏はイスマイル・ハニヤ(Ismail Haniya)氏の後任として新指導者に就任し、ハマスの政治部門の最高指導者ハレド・メシャール(Khaled Meshaal)氏に次ぐナンバー2となる。

 シンワール氏は1962年、ガザ南部ハンユニス(Khan Yunis)の難民キャンプ生まれ。ハマスの執行機関の一つ「マジド」を創設した。「テロ行為」に関与した容疑で1988年にイスラエル当局に逮捕され、終身刑4回の判決を受けた。

 イスラエルの刑務所に20年以上収監されていたが、ハマスが2006年から拘束していたイスラエル軍兵士、ギラド・シャリート(Gilad Shalit)曹長を解放する見返りとしてイスラエル当局が釈放したパレスチナ人約1000人にシンワール氏も含まれていた。

 釈放されたシンワール氏はハマスの軍事部門、イザディン・アルカッサム(Ezzedine al-Qassam Brigades)の幹部を務めていた。米政府は2015年9月、シンワール氏をイザディン・アルカッサムに所属する他の2人と共に国際テロリストに指定した。

 ガザ地区の政治アナリスト、ムハイメル・アブサーダ(Mukhaimer Abu Saada)氏は、シンワール氏の選出はハマスの中で軍事部門が主導権を確立しつつあるとことを示しているとの見方を示した。(c)AFP/Sakher Abou El Oun