【2月13日 AFP】イスラエルの閣僚委員会で12日、「宗教施設での拡声機を用いた騒音を防止する法案」が承認され、政府案として議会に提案されることが決まった。イスラム教徒からは、伝統的な礼拝の呼び掛けを禁じる狙いだとして非難の声が上がっている。

 イスラエル法務省の発表によると、この法案は極右政党「ユダヤの家(Jewish Home)」所属のアイェレト・シャケド(Ayelet Shaked)法相が議長を務める閣僚委員会で採決にかけられ、可決された。法案には特定の宗教への言及はないものの、イスラム教の礼拝でモスクのミナレット(尖塔)などに設置されたスピーカーを通じて呼び掛けを行う担当者の呼称にちなんで「ムアッジン法」と呼ばれている。

 当初の草案は、金曜日の日没時にユダヤ教徒に安息日の始まりを知らせるサイレンまでも禁止しかねないとして却下されていた。修正案では、騒音を禁止する時間帯を午後11時~翌朝7時に限定したが、この時間帯にはイスラム教の1日5回の礼拝のうち、夜明けの礼拝が行われる時間が含まれている。

 イスラエル議会でアラブ統一会派を率いるアイマン・オデ(Ayman Odeh)議員は、「この法案は騒音に関するものでも生活の質に関するものでもない。国内の少数派の人々に対する差別をあおるためだけのものだ」と強く非難する声明を出した。(c)AFP