【2月11日 AFP】米国のマイケル・フリン(Michael Flynn)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領就任の数週間前に、米国が科す対ロシア制裁について駐米ロシア大使と協議していたと米国の複数のメディアが10日報じた。フリン氏のこれまでの主張とは異なる内容だ。

 この会談は当時のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領が米大統領選で起きたサイバー攻撃をめぐるロシア情報機関への報復として厳しい制裁を命じたのと同じ頃の昨年12月に行われたという。

 この会談について最初に報じた米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、複数の米高官がフリン氏とセルゲイ・キスリャク(Sergey Kislyak)駐米ロシア大使の会話を通訳し、米国による対ロシア制裁が軽減される見込みがあるという不適切で違法となる恐れさえあるシグナルをロシア側に送った。

 同紙は、ロシアの外交官のやりとりを日常的に監視している米国の情報機関と法執行機関からの報告書に通じている匿名の現役と元職の当局者の証言を引用して伝えた。

 この報告書によると、フリン氏とキスリャク大使の会談は、オバマ前大統領がロシアの情報員と疑われる35人の国外退去処分を含む対ロシア制裁を発表した昨年12月29日前後に行われた。

 ワシントン・ポストの取材源によると、フリン氏は米大統領選にからむ制裁に「明示的に」言及した。2人の情報源によると、フリン氏はロシア側に対しオバマ大統領の制裁に過剰に反応しないよう勧めるとともに、トランプ氏が大統領に就任する1月20日以降にこの制裁について米ロ双方で再検討できると示唆したという。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)もフリン氏とキスリャク大使の会談について、現役と元職の当局者の発言を引用して同様の報道をしている。(c)AFP