極小ドローンを使った人工授粉、日本で研究進む
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【2月10日 AFP】馬の毛と粘着質のゲルでコーティングされた小型のドローン(無人機)が、作物の受粉を助け、世界的なハチの生息数減少を穴埋めする一助となるかもしれないとする研究論文が9日、日本の研究チームによって発表された。
米化学誌「ケム(Chem)」に掲載された論文によると、この超小型ロボットは、同分野での実用化にはまだほど遠いが、病気や気候変動を原因とするハチの減少に対し部分的な解決策を提供できる可能性があると、研究チームは述べている。
論文の主執筆者で、産業技術総合研究所(AIST)ナノ材料研究部門(Nanomaterials Research Institute)研究員の都英次郎(Eijiro Miyako)氏は、今回の発見は農業やロボットなどさまざまな分野で応用することができ、人工授粉機の開発につながれば、ミツバチの減少がもたらすさまざまな問題への対応に寄与することができるとしている。
都氏は2007年、電気伝導体として使用可能な液体を使った実験を開始。ある実験が失敗した際に作製され、そのまま保管していたヘアワックス状の粘着性ゲルを約10年ぶりに見つけた際、性質が変化していなかったことからアイデアがひらめいたという。
都氏はまず、イエバエやアリを使った実験から始めた。これらにゲルを塗り、箱の中に入れたチューリップの花粉を付着させることができるかどうか調べた。そして、次に進んだドローンを使っての実験では、ハチの全身を覆う細かい毛をまねてドローンの表面を馬の毛で覆い、底面にゲルを塗布してササユリ畑の上空に飛ばした。
その結果、花粉を吸着したドローンは、別の花に飛んで行って受粉を媒介し、人工的に受粉した花が種子を作る過程に進んだことが確認されたという。
都氏は、全地球測位システム(GPS)や人工知能(AI)を使って、ドローンに受粉経路を学習させることも可能と考えているという。(c)AFP