【2月9日 AFP】難民認定基準を厳格化したスウェーデンで、アフガニスタン移民の10代若者が相次いで自殺を試み、難民施設の職員や支援ボランティアから懸念の声が上がっている。 

 スウェーデンではこの2週間に、保護者のいない未成年の難民認定申請者7人が各地の難民支援センターで次々と自殺を試みた。

 未成年の難民申請者の支援を行っている非営利団体の関係者によると、このうち3人が死亡した。いずれもアフガニスタン出身で、18歳未満だという。この関係者はAFPの取材に、保護者を伴わない未成年の難民申請者たちは「国外退去処分になるのを恐れ、希望を失っている」と述べた。

 スウェーデン移民庁は昨年12月の報告書でアフガニスタンの治安評価を見直し、国全体としては「暴力行為が増えている」としつつ、一部地域については「危険度は低い」との判断を示した。これにより、スウェーデン当局はアフガニスタン出身者の難民申請を却下し国外退去を命じやすくなった。

 移民庁の報道官は、18歳未満の難民申請が却下された場合、アフガニスタンに家族や知人など保護者となる人物がいなければ強制送還はしないとAFPに語った。

 しかし、難民支援ボランティアの教員によれば、保護者のいないアフガニスタン移民の間では難民申請が却下されるのではないかとの不安が膨らむ一方だという。支援センターでの暮らしの中での孤独や愛情不足も、10代の若者を自殺に追いやるきっかけとなっている恐れがあるという。この教員は、今後も自殺者が増える可能性があるとして「非常に懸念している。スウェーデン政府に何らかの対処を望む」と述べた。

 スウェーデンは2015年に国民1人当たりで欧州最多となる16万人の難民を受け入れた。また、昨年には未成年のアフガニスタン難民2100人を受け入れた一方、600人の難民申請を却下している。(c)AFP