【2月9日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領による入国制限措置の影響が米国の旅行産業にも広がってきた。イスラム圏7か国からの入国を一時禁止する大統領令を出した1月後半以降、米国への旅行の予約が前年比で6.5%減少したことが8日、調査会社のリポートで明らかになった。対象7か国以外の人の間でも米国への渡航を控える動きが出ている。

 イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンからの入国の一時禁止などを命じた大統領令は先月27日に署名された。今月3日以降は連邦地裁による差し止め命令で執行が停止されている。

 旅行情報の分析を手がけるフォーワードキーズ(ForwardKeys)のリポートによると、先月28日から今月4日の期間に、これら7か国から米国への渡航者は前年同期に比べ80%減少した。

 しかし、米国への旅行の予約は西欧とアジア太平洋地域でもそれぞれ約14%落ち込み、北欧からも6.6%減少した。中国と香港(Hong Kong)は旧正月の休暇が影響するためデータの対象から外されている。

 フォーワードキーズのオリビエ・イエーガー(Olivier Jager)最高経営責任者(CEO)はリポートの中で「このデータから導かれる説得力のある結論は、ドナルド・トランプ氏の入国禁止令は直ちに米国への旅行の予約を大幅に減少させ、今後の旅行計画に直接の影響を及ぼしているということだ」と分析。

 さらに、外国人が訪れてくるインバウンド旅行は外貨を稼ぐという意味で輸出産業の一つだと言及した上で、今回の調査結果は「米国経済にとって良いニュースではない」と指摘している。(c)AFP