【2月8日 AFP】不妊の潜在的原因を調べ、夜間に働いていたり重いものを持ち上げる仕事に就いていたりする女性の卵子は、朝の9時から夕方の5時まで働いている女性の卵子に比べると、数と質の面で劣っている可能性があるとする研究論文が8日、発表された。

 論文の執筆者らによると、今回の研究は交代勤務または肉体労働が女性の身体的な妊娠能力にどのように影響するかを調べた初めての試みだという。

 米国を拠点とする研究チームは、マサチューセッツ(Massachusetts)州の不妊治療クリニックに通っている平均年齢35歳の女性約400人のデータを分析した。

 研究者らはまず、卵巣内にどれだけの卵子が残っているかを示す卵巣予備能力と、生殖能力の低下に伴い増加するホルモンのレベル、さらに健康な胚に成長することができる「成熟卵」の数を調べ、これらのデータを女性の労働条件、業務に必要な身体運動の量や労働時間の長さなどと比較した。

 割合としては、約40%の女性が仕事上、頻繁に重い物を移動したり持ち上げたりする必要があると答え、20%が肉体的に非常にきつい仕事に就いていると回答。91%が通常の勤務時間で働いていた。

 論文が掲載された英医学誌「職業・環境医学(Occupational and Environmental Medicine)」の報道機関向けの声明によると、「肉体的にきつい仕事に就いている女性は、頻繁に重い物を持ち上げる必要がない仕事をしている女性に比べると、卵子の残量が少なかった」と指摘している。また、重い物を持ち上げる女性は成熟卵の数も少なく、夕方や夜間または交代制で働く女性はさらに少なかった。

 研究者らは、この影響が最も顕著だったのは体重過多の女性と37歳以上の女性だったと述べている。

 一方で、今回の研究では労働条件と卵子の健康状態との相関関係を観察しただけであり、因果関係があるとは断言できないとしている。(c)AFP