【2月8日 AFP】乳がんや卵巣がんに関連する遺伝子変異の検査について、医師らが高リスク患者に受診を勧めなかったり、説明すらしていないケースが多いことが、7日に発表された最新の調査結果で明らかになった。

 米国医師会雑誌(JAMA)に発表された論文の主執筆者で、米スタンフォード大学医学部(Stanford University School of Medicine)のアリソン・クリアン(Allison Kurian)教授は、「女性らは遺伝子検査に大きな関心を持っているが、その多くは検査を受けていない」ことを指摘。「これは、遺伝子変異の保因者とその家族で、がんを予防する機会を医師らが逃していることを意味するため、特に懸念すべき事柄だ」と続けた。

 クリアン教授と米ミシガン大学(University of Michigan)の研究者らは、がんの進行度がステージ0からステージ2で、外科手術後2か月が経過した女性2500人以上を対象として調査を行った。

 女性らには、遺伝子BRCA1とBRCA2の変異の存在を調べる遺伝子検査の受診に興味があるか、興味があるなら実際に受診したとがあるかとの質問に回答してもらった。

 その結果、3分の2の女性が遺伝子検査の受診に興味があると答えた。

 ただ、実際に受診した女性は全体の3分の1にとどまっていた。検査を受けていない女性の約56%は、医師が受診を勧めなかったからとその理由を説明した。

 また、検査の受診を決めたり、結果を理解したりする上で助けになる遺伝子カウンセリングを受けたと答えたのは全体の40%にすぎなかった。遺伝子検査を受けた女性の60%は、カウンセリングを受けていた。

 今回、上級研究員として参加したレシュマ・ジャグジー(Reshma Jagsi)氏は、遺伝子検査が危険因子を持つ女性のための強力なツールになる可能性があるため、この結果は「憂慮すべきこと」だと述べている。

 ジャグジー教授によると、遺伝子検査は、すでに発症した乳がん治療のための最良の外科手術を選んだり、以降のさらなるがん発症リスクを低減させるための治療を考えたりする上で影響を及ぼす可能性があるという。

 今回の調査結果についてクリアン教授は、一部の医師が遺伝子検査のメリットを理解していなかったり、患者に対して十分に説明できなかったりする可能性があると指摘している。(c)AFP